ドラマ「デザイナー」最終回
一条 ゆかり デザイナー (前編) 一条 ゆかり デザイナー (後編) |
やっとビデオを見れた、先週の金曜日(11月25日放映)のドラマ31「デザイナー」最終回。カナシイ、行き場の無い話だったなぁ、本当に。一条ゆかり先生特有の悲劇的な設定--朱鷺(塩谷瞬)と亜美(松本莉緒)が双子でありながら愛し合うという悲惨な運命--、ずっと朱鷺の監視を続けていた柾(丸山智己)、そして双子のことを明かされた母、麗香(国生さゆり)。そして、数奇な運命に自ら終止符を打つ亜美。(好い意味で)ネチッコイ演技を繰り広げてきた松本莉緒嬢&国生さゆり先生だからこその、ドラマチックでありつつちょっと爽やかなカタルシスが残るいい作品だった、と思う。 朱鷺の胸のなかで死んでいく亜美。「二人だけの世界があったら、愛だけで生きていけるのに。そんな世界があったら、どんなに遠くてもあなたと、朱鷺と行くのに。二人で…」(ドラマより引用)と語るシーンに流れるフルートとアコースティック・ギターの美しい曲。音楽監督、栗山和樹氏のセンスの良い一品だ。彼の書く曲はいつも素晴らしい。テンポは分間80くらいで、キーはAマイナー、4/4拍子。「トニックとサブドミナントマイナーだけで世界を表現できる」(参照)と書いたことがあるが、これもIm-bVIM7の、トニックマイナーとサブドミナントマイナー進行を骨格として、世界(一条ゆかり先生の世界?)を表現できたような名曲だった。ギターソロにアレンジしてコピー。 イントロ。Im-VIM7のコード進行。上のラインは変わらず、コードが変わるという作曲術が栗山和樹氏は得意だと思う。ブライアン・イーノなんかが多用する技術だが、印象的な1つの旋律の繰り返しと、その背景色(=コード)が変わることで、楽曲の立体感が際立って見える。 [A]パートは、フルートがメロディを取り始めるところ。ココのコード進行は Im-bVII-bVIM7-V7 で、本ブログで「マイナー版循環コード」(参照)と呼んでいるもの。このbVIIとV7が省略されて、Im-bVIM7という進行は生まれたとも解釈できる。とにかく奥の深いコード進行だ。
そして[B]パート。 Im-bVIM7-IVm-bVII7-Im IVmも、bVII7もサブドミナントマイナー。最後はVIM7b5 で締めて、何かが宙ぶらりん、サスペンドされたような感じで終わる。見事だ。 少女漫画の語法に慣れるのには意外と男性は時間がかかる。あの独特のコマ割りが理解できない。なんで、いきなりヒロインの全身像が描かれているのか? 何故、それが必要なのか? 女房に「男でも比較的入りやすい少女漫画が読みたいのだが」と5年前に質問したところ、一条ゆかり先生の「砂の城」を薦められ、一気に読み上げてしまい、先生のファンになってしまった。最近は、オペラの世界を描く「プライド」を読み始めた。これもとても面白い。いずれじっくりと楽曲を研究してみたいと思っている。 ■関連リンク:ドラマ「デザイナー」公式サイト |