「野ブタ。をプロデュース」PRODUCE 8とバッハ
池頼広, TVサントラ 野ブタ。をプロデュース |
12月3日放映済み、日テレ「野ブタ。をプロデュース」(原作白岩玄氏)の第8話。信子(堀北真希)と修二(亀梨和也)のビミョーな距離。クラス内人間関係での信頼の喪失。そして、野ブタ。プロデュースを妨害してきた「信子の友達」、蒼井かすみ(柊瑠美)のゆがんだ心理(戸田恵梨香が黒幕にあらずちょっと安心)。クライマックスに向けいよいよ目が離せなくなってきた「野ブタ。をプロデュース」。 人気者がいきなりクラスの嫌われ者に。ある面がクローズアップされて、全ての罪と矛盾を背負う。人生のドン底へ。こういった”人生の谷間”を人間は何回か経験するのだろう(最近、自分も某ブログ界で経験している最中)。自分自身をゆっくりと見つめなおす”心が痛い”時間。全ての他人が敵に思え、自分の思想の欠陥を自分自身で攻め立てる時間。自己の過去を遡って。自分の悪い面ばかりが見えて心が痛い。 第7話で、孤独を告白する修二を公演で優しく抱きしめた信子。学校の屋上でそのことについて話し合う二人。「他人に慰められるのが苦手」と告白する修二。「みんな幸せになって欲しい」と語る信子。交錯する互いの考え方=思想。そこで始まるコミュニケーション。背後で流れる、オープニング曲のアコースティック・ギターソロ。こういった時間に最も相応しいであろう「G線上のアリア」と「プレリュード」の骨格部を結合させたかのようなコード進行。音楽と宗教というテーマから派生したかのような、人間の原罪を告白し、購いを求め、癒しを乞うコード進行。世界中の癒しの音楽は必ずといっていいほど、これらのコード進行をフレームとして描かれている。「女王の教室」のサウンドトラックを担当した池頼広氏の繊細で美しい音楽だ。 クリシェから始まる「G線のアリア」冒頭4小節のコード進行パタン。 I-IM7/VII-I6/VI-I/V-IV-V7 「プレリュード」で繰り返し演奏されその後の音楽全般の骨格となったパタン(=ツーファイヴ)。 IIm7-V7-I 前者が[A]部、後者が[B]部に相当。アコースティックギター2本での演奏と思えるがソロギターとして簡易アレンジしてみた。
2小節目3〜4拍がV7になっている点が異なるが、G線上のアリアパタンと考えて問題ないだろう。これを繰り返すが、2回目の4小節は、
[B]パターンは、サブドミナント→ドミナント→トニックの繰り返し。
サブドミナントは、Dm7とF、トニックはCとAm7を適宜代理させながら演奏されている。実施弾いてみて欲しい。心安らぐ超名曲だ。実際に採譜してみて、コピーしてみて、弾いてみてみて、やっとその音楽の素晴らしさが理解できる。 修二と信子を包む悩み。彼らの魂の解放への道しるべとなるバロック・コード進行。音楽は癒し、音楽は魂の購い、贖罪。音楽が素晴らしいドラマだ。こんな時代に、「妄言」でもタワゴトでもいい。音楽よ、全ての人々に光を降りそそいでくれ。大人気ないと思われても、ソレくらい俺に言わせてください。 ■関連リンク:池頼広氏公式サイト 野ブタ。をプロデュース |