「音楽美学」を読む【15】大奥〜華の乱〜





浅野 妙子


大奥 華の乱







TVサントラ, 石田勝範


大奥~華の乱~オリジナル・サウンドトラック







篠山 紀信


digi+KISHIN girls/小池栄子







内山理名 2006年度 カレンダー

 野村良雄氏の「音楽美学」を何故読むべきなのか? 「野村良雄氏の「音楽美学」は、そして世界中のジャンルを越えた音楽の比較学へと進んでいく」先週述べてから暫く経った。このテーマは「牧歌組合」のテーマ「ジャンルを超えて音を楽しみ解析する。音自体に名札やブランドラベルは貼られていない」そのものである。万が一音に名札が貼られているとしたら、ブランドラベルを貼っているのは、資本主義社会制度であり、音楽家でも、リスナーでもない。




 現在栞を置いている


第二章 音楽の形式


  第一節 音楽作品の驚くべき秩序


 から、


  第二節 音組


 へと一時的(/tmp=temporary。ベートーヴェンをもっと研究すべきだ。「のだめカンタービレ」と共に)に読み進む。

 音楽的秩序の最も根本には音組織の問題がある。今ここでも、この物理学的や比較音楽学的な問題はそれらの専門書にまかせて深入りせず、われわれの芸術音楽の基礎としての種々の問題だけ触れるにとどめる


 われわれの音楽において1オクターヴ

  • ハニホヘトイロ
  • CDEFGABD(※筆者補)
  • ドレミファソラシド(※筆者補)

の7音をもち、そのうち

  • ホ〜ヘ
  • ロ〜ハ

の間が半音で他は全音だというようなことは、誰もが知っている。しかし、こうした組織は何にもとづいているのであろうか。

※野村良雄「音楽美学」から引用。




 音楽の和声構成を「第一節」で研究したのち、氏は「第二節」にて音階=スケールの考察へと歩んでいく。

 音階の調律法として

  • 和声的な音階によるものと、
  • 五度を重ねて作るものと、
  • 平均律

3種が普通知られている。

※野村良雄「音楽美学」から引用。




 氏はこの後振動数の比例を研究していくが、ここは先送りして、その後氏がケーススタディとしてサンプリングする世界音楽のスケールについて考えてみよう。そこで考察されているのは、

であり、この解説が面白い。




 雅楽といえば、高岡早紀小池栄子内山理名藤原紀香中山忍ら豪華絢爛たるキャストで描かれたフジTV系「大奥〜華の乱〜」。本日最終話であった。このテーマ音楽の冒頭で聴こえる響きは(先日「龍の子太郎」でも採り上げた楽器)、雅楽龍笛(りゅうてき)だと思う。ギターで旋律をタブ譜コピーしてみると(2/4拍子として解釈)、





Cm Gm
+ + + + + +
e:---------|---------|---------|
B:-------6-|---------|---------|
G:---5-7---|-7--57---|---------|
D:-5-------|----tr---|---------|
A:---------|---------|---------|
E:---------|---------|---------|
EbM7 Gm
+ + + + + + + +
e:---------|---------|---------|---------|
B:-----6-8-|---------|---------|---------|
G:-7-8-----|-----7-8-|87-------|---------|
D:---------|-5-------|tr-------|---------|
A:---------|---------|---------|---------|
E:---------|---------|---------|---------|
※「tr」=トリル




 ヴィデオを見ながら龍笛でコピーしていると、次男の友達TG君に「このドラマ、エロいんだよ、おじさんエロいねー」と言われたが。キーはGマイナーと思われ、コード進行は、


IVm-Im-bVIM7-Im


 だと思う。なんとこれも、あにはからんやサブドミナントマイナー(IVm, bVIM7)→トニックマイナー(Im)の世界。この世界日本で限定しても、「野ブタ。をプロデュース」→宮部みゆき大林宣彦「理由」と足立区、と読み進んできて、いよいよ雅楽の世界へと踏み込んできた。




 そして問題なのは音階だ。Gで落ち着いているからGを根音と解釈して、上から

  • 西洋音階C-B
  • 相対音階
  • 根音を「ら」と表現したスケール
  • 雅楽音階(龍笛

で表すと、


|G |C |D |Eb |F|
|I |IV |V |bVI |bVII|
|ら |れ |み |ふぁ |そ|
|⊥(じょう) |T(げ) |六(ろく) |〒(かん) |五(ご)|


 ということになる。龍笛音階の「〒」はやや音程を落とし気味(唇を吹き口にかなり被せる)で演奏する(機種依存文字、陳謝。だが仕方なし)。




 この、五音階

  • ラ、レ、ミ、ファ、ソ

って、ペンタトニック・スケールとも違う。これは一体何だ? 続きは明日。昨日

を結びつけたが、あながちこれは嘘でも何でもない。




■関連リンク:大奥〜華の乱〜公式ページ

■関連記事:前回 「仮面ライダー THE FIRST と龍の子太郎」