「音楽美学」を読む【16】「野ブタ。をプロデュース」最終話


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堀北真希 2006カレンダー

 続き
ドラマ「大奥〜華の乱〜」のテーマ曲での龍笛フレーズの五音階

  • ラ、レ、ミ、ファ、ソ

 このスケールは一体何だろう? 私が根音を「ラ」と読んでいるその認識を解析するなれば、チャーチ・モード(church mode、教会旋法)におけるエオリアンスケール


|A |B |C |D |E |F |G|
|I |II |bIII |IV |V |bVI |bVII|
|ラ |シ |ド |レ |ミ |ファ |ソ|


を基準(ナチュラル・マイナー・スケール自然的短音階とも呼ばれる)として、「ラ、レ、ミ、ファ、ソ」を「I,IV,V,bVI,bVII」を捉えているからだ。この5音階を、キーDマイナーのすると、


|I |IV |V |bVI |bVII|
|D |G |A |Bb |C|


 馴染み深くないですか? この五音階って、今年のナンバーワンヒット曲、NEWS 山下智久KAT-TUN 亀梨和也の特別ユニット(まだ続くかもしれないらしいが)の「青春アミーゴ」(作詞:zopp / 作曲:Jonas Engstrand, Ola Larsson, Fredrik Hult, Shusui)のイントロで流れるギターのフレーズじゃあないですか。図らずも。度々になるが再掲。



Gm F#dim
+ + + + + + + +
e:-----------------|-----------------|
B:-----------------|-----------------|
G:-------2-----0---|-----------------|
D:-0---------------|-0---------------|
A:-----------------|-------1-----3---|
E:-----------------|-----------------|
F7 F#dim
+ + + + + + + +
e:-----------------|-----------------|
B:-----------------|-----------------|
G:-----------------|-----------------|
D:-0---------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|


 キーはGマイナーなので、ここでは

  • フリジアンスケール
  • ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、レ

のうちの

|ミ |ラ |シ |ド |レ|
|I |IV |V |bVI |bVII|
|D |G |A |Bb |C|
として、解釈すべきであろうが。それにしても

  • 今秋〜今冬の人気ドラマの二作品で、この五音階が”最も重要なフレーズ”として提示されていること
  • それが雅楽龍笛で演奏できるメロディであること
  • 日本人にとってなんとなく「懐かしい」旋律であること

 がわかる。そして、それらのスケールは、

から構成されている。




 先週(12月16日)最終話を迎えた「野ブタ。をプロデュース」。初めて笑うことが出来た信子(堀北真希)の不器用な笑顔と青空があまりにも印象的だった。いいドラマだったなぁ。さて、「青春アミーゴ」からは、現在の研究課題である同主調転調とサブドミナントマイナーの関係」についても学習することができる。TVエンディングテーマでの最後の部分、歌詞「思い出した」から「綺麗な空」の箇所である。


|4/4 G#m |Gdim |F#7 |Fdim|
|E |F7 |B|


「空」の部分でコードBメジャー解決となっているので、キーをBメジャーとして捉えると、


VIm-bVIdim-V7-#VIdim-VI-V7-I


 ディミニッシュコードは明らかに経過コードなので抽象して、


VIm-V7-VI-V7-I


 と骨格を認識する。最後のBは、G#mと代理可能。Bはたまたま代理されてBメジャーに同主調転調されている、しない場合を仮定する(7小節目がG#m)と、


Im-bVII7-bVI-bVII-Im


 Bになったとしても、


Im-bVII7-bVI-bVII-bIII


 ありゃりゃ。これも「トニックとサブドミナントマイナー」の世界だ。強気で推論するならば、ここ一ヶ月間、このブログで取り上げている曲たちは何か1つの論理、1つの歴史、1つの文化様式に基づいたものである。雅楽龍笛→「大奥」の五音階→「青春アミーゴ」のギターフレーズ。何故、この五音階は懐かしく、力強く、説得力があるのか? 続く。




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