エルガー 弦楽のための「序奏とアレグロ」(2)
Bob Dylan Blonde on Blonde ヌーラ オコーナー, Nuala O’Connor, 茂木 健, 大島 豊 アイリッシュ・ソウルを求めて エルガー エルガー弦楽のための《序奏とアレグロ》 |
前回採り上げたエルガー「序奏とアレグロ」の第4主題”ウェールズ旋律”に、ギターの弦楽器としての特性を活かし、以下のように若干の和声を付けて弾いてみる。
上記はギターの近接3弦上のトライアド上に作られた和声を基礎とした演奏で、それぞれのコードで、 1) Eb(6-8フレット間)、Bb(13-15フレット間)
2) Ab(8-10フレット間)
3) Fm(4-6フレット間)、Cm(11-13フレット間)
4) Cm(3-5フレット間)
5) Fm7(13-15フレット間)、Gm7(15-17フレット間)
と上記ブロックを使用することになる。 コード進行は、 I-IV-IM7-IIm7-VIm7-IIm7-IIIm7-VIm7-IIm7-V7 トニック、サブドミナント、ドミナントから構成され、スリーコードに抽象化可能なものであった。 上記をギターで是非弾いてみてほしい。何かに似ていないだろうか? どこかで聴いたことがないだろうか? それは、1960年代〜1970年代のフォークロックに於けるギター演奏だ。例えば、ザ・バンド(the Band)のロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)。ザ・バーズ(the Byrds)のロジャー・マッギン(Roger McGuinn)、フェアポート・コンヴェンション(Fairport Convention)のリチャード・トンプソン(Richard Thompson)、ブリンスリー・シュワルツ(Brinsley Schwartz)らのギター演奏。 あるいは、ボブ・ディラン(Bob Dylan)「ブロンド・オン・ブロンド(Blonde on Blonde)」に於ける、マイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield)のギタープレイ。「モービルから抜け出せずメンフィス・ブルース歌う(Stuck inside of Mobile with the Memphis Blues Again)」の彼のギターソロ冒頭を取り上げてみよう。キーはEメジャーで、4/4拍子。【A】パート一回目でのギタープレイだ。
Eの箇所では上記ブロック(2)を、C#mの箇所では上記ブロック(4)を、B7の箇所ではブロック(1)をそれぞれ用いている。Aの箇所は、 6) A(5-7フレット間)
というブロックだ。リードギターともリズムギターとも判別しづらいこのような演奏は、1960〜1970年代のフォークロックにおいて多く見られ、それらは、コーネル・デュプリーらR&Bのギターと近しくはあるが、それと同一ではない。それよりももっと”歌う”フレーズであり、サックスなどのフィルに近しいイメージだ。 コレは、弦楽器における演奏という意味で、ケルトが民謡、ブルーグラスを経てフォーク・ロックに与えた影響の一つであると考えている。 ■関連記事:前回 |