牧歌組合は、試験的にパラレルでヒッソリと再起動中だ。JASRAC様対応報告ページでも書いたが、2006年の春、私は「うつ状態」の中にあった。音楽療法という助けを求め、「うつに利く音楽」「不安を解消する音楽」を探す期間が2006年中、継続していた。その関係の書籍を読み、以下のようなリストをポケット手帳に書き込んで、CDを集めていた。このようなリストだ。ほとんどのものを聴き漁った。救いを求めて。
上記サイトより引用。 ポドルスキーによる音楽処方(抜粋) 1) 不安神経症
ガーシュウィン『キューバ序曲』
ビゼー『子どもの遊び』
2) うつ状態
リスト『ハンガリー狂詩曲』
ロッシーニ『ウィリアム・テル』序曲
シべリウス『フィンランディア』
J.シュトラウス『古きウィーンの音楽』
3) 神経衰弱状態
バッハ『コーヒー・カンタータ』
ショパン『ノクターン』
ファリヤ『スペインの庭の夜』
へンデル『水上の音楽』
4) 心身症(高血圧)
ボロディン『弦楽四重奏曲第2番ニ長調』
ドビュッシー『ピアノのために』
5) 心身症(胃腸障害)
ベートーベン『ピアノ・ソナタ第7番』
モーツァルト『ピアノ・ソナタ イ短調』
2006年は、仮面ライダーカブトの年だ。同性でも「何故彼がセクシーなのか」わかるような気分になる、「天の道を往くヒーロー」天道総司こと水嶋ヒロ氏が登場した年だ。そして、天道総司の背景(Background Music)として流れたエルガー(E.Elgar)「愛のあいさつ(Salut d'amour)」。
なんか、癒された、エルガー流れる水嶋ヒロ登場場面に。本当に優しい音楽。音楽療法のための音楽としてリストアップされるべき曲だと感じた。この曲のどの部分が、癒しを提供するのだろうか?
中央アート出版社、斎藤まもる氏編「ギターで弾くクラッシック名曲アルバム Vol.2」でのギターソロアレンジを基本ベースに和音を付与しつつ、エルガー「愛のあいさつ」のAパート部分のコード進行を考察してみよう。キーはGメジャー。
作曲:エルガー
編曲:斎藤まもる
和音付加アレンジ:dukkiedukkie 2/4
G Em7/B Am7 Am7+5 D7
+ + + + + + + +
e:---------|---------|---------|---------|
B:-0-----0-|---------|-1---1---|-1-------|
G:-0-------|-2-0---0-|---------|---------|
D:-0---0---|-----4---|---2-3---|-4---0---|
A:-2-------|-2-------|-0-------|---------|
E:-3-------|---------|---------|---------| G Em7 11 Am7 A7 D7
+ + + + + + + +
e:---------|---------|---------|---------|
B:-0-----0-|---------|---------|---------|
G:-0-------|-2-0---0-|-2---2---|-2-----3-|
D:-0---1---|-2---4---|---------|-0-------|
A:-2-------|-2-------|-0-2-3-4-|---0-----|
E:-3-------|-0-------|---------|-----2---| G Em7/B C E7 Am7
+ + + + + + + +
e:---------|---------|-0---0---|-0-------|
B:-0-----0-|---------|---------|-----3-1-|
G:-0-------|-2-0---0-|---0---1-|---------|
D:-0---0---|-2---4---|-2-------|---2-4-2-|
A:-2-------|-2-------|-3---2---|-0-------|
E:-3-------|---------|---------|---------| G C6 Am7 D7 G
+ + + + + + + +
e:---------|---------|---------|---------|
B:-0-------|---------|---------|---------|
G:-----2-0-|---------|-0-------|---------|
D:-0-------|-2---4---|---------|---------|
A:-----3---|-0-2-3-0-|-2-------|---------|
E:---------|---------|-3-------|---------|
1〜8小節目の基本構造は、
I-VIm7-IIm7-V7
トニック-トニック代理-サブドミナント-ドミナント
の循環コードで、循環コードのトニック代理(VIm7)をトニック(I)にしするとツーファイブ、サブドミナント(IIm7)をIVで代理すると、
I-IV-V7
トニック-サブドミナント-ドミナント
だからスリーコード。結局、スリーコード、ツーファイブ、循環コード、アイスクリームコードは、同じ骨格に行き当たる。それこそ音楽の根本。これが何ものにも変えがたい安定感を裏打ちしていて、私たちの不安感を拭い去ってくれるのだろう。
2、6小節目の11th(=4th)では、サブドミナントの浮揚感が加わり、アーメン終始(=I-IVバンプ)のカタルシスが加わる。3,7 小節目の「+5」=オーギュメントは、ドミナントセブンス(D7)の3rd:F#への
F->F#
という遷移音を描き、ツーファイブにシルクのような滑らかさを与えている。 9〜12小節目のコード進行
|G |Em7| C- E7| Am7 |
は、
|I |VIm7|IV- VI7| IIm7 |
で、循環コード
|I |VIm7|IIm7| V7 |
いったんサブドミナントIIm7をIV(C)で代理、さらに、V7(ドミナントセブンス)を省略して(再挿入も可能だが)、IIm7をさらにツーファイブ化して、
VI7-IIm7
とVI7(E7)を挿入したものといえる。13〜16小節のコード進行
| G | C6 | Am7-D7 | G |
も、
|I |IV|IIm7- V7| I |
で循環コード(+サブドミナント代理IV挿入)だ。 不安感を拭い去ってくれる安定感はこのように、歴史と伝統ある基本的な構造(スリーコード、循環コード、ツーファイブ、バンプ)の組み合わせ、その遷移を滑らかにする遷移音の挿入から生まれていると思う。うつ状態からの脱却のために、歴史と伝統を大事にすることの必要性、順序だてて論理的に考えることの重要性をしみじみと考えた。循環コードとツーファイブのラインは、天道総司の往く「天の道」が如きもの。
■関連リンク:水嶋ヒロ オフィシャル・ウェブサイト
心理学における音楽療法
■関連記事:
JASRACさんとの顛末/3年越しの報告/著作権保護のための自戒的ガイドライン(案)
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