”Make Her Mine”のベースラインを考える







 二週間経っても、いまだ、頭の中で「Make Her Mine」が回っているから、音楽の力はすごい。僕がしつこすぎるのか、否、音楽の力は偉大である。



 ウッドベースは弾き込んでいないと、まず、指がついて来ない。弦が思いっきり太いのだ。一番低いE弦を(こんなことかつてやったこたぁないのだが)、定規で計ってみると、直径3ミリメートルはある。よしんば、アタマで「こういうカッチョイイフレーズで弾いてみたいのう」と願い、かつ、”カッチョイイ・フレーズを創るセンス”に恵まれていたと仮定したとしても、そのフレーズを思いのままに物理的に実装するためには、最太3ミリメートルの弦を物理的に弾くタイミングと、音が出るタイミングを100%、制御しなければ、いいリズムにはならない。私は、20歳代、挫折したベーシストである。


 ま、そーゆーことで、You Tubeなんかを見ながら、あわせて弾いてみる。繰り返し、繰り返し、そしてまた、繰り返し。ありていであるが、上野樹里貫地谷しほりらと共演しているみたいで、楽しいのである。楽しいのであるが、オリジナルベースラインばかりだと、退屈してきて、他の音を入れたくなる。この衝動はいいベーシストなのかどうか、自分でも疑問視しているのであるが、他の音色を混ぜたり、基本(八分音符)「3、3、2」構成と思われるリズムのうえで、遊びたくなってしまう。




 イントロパートから、ベースラインの variation を考える。




【I】パート


作曲:Hipster Image?
bassline variation:dukkiedukkie
4/4
Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------1-----|
A:-----------1-----|-0---------------|
E:-0---------------|-----------------|

Dm G7
+ + + + + + + +
G:-------2---1-----|-0---------------|
D:-0---------------|---0-------------|
A:-----------------|-----0-----------|
E:-----------------|-------3---1-----|

Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------1-----|-0---2---3---4---|
E:-0---------------|-----------------|

Dm
+ + + + + + + +
G:-------------5---|-7-5-------------|
D:-0-----7---------|-----7-0---------|
A:-----------------|-----------3-0---|
E:-----------------|-----------------|

 冒頭の鮮烈なツーファイブ、それぞれのルートに対するbVの音(Emに対する Bb、A7に対するEb)を混ぜる。JAZZYな雰囲気が増さんかのうと。映画「スウィング・ガールズ」は「ジャズは後ノリ」であることを教える映画であったが、この曲のリズムは例外である。先ほども書いたが基本的なリズムは


 ♪(八分音符)=3コ、3コ、2コ


 のブロックからなる、所謂「さん、さん、に」、タンゴでは「ミロンガ」などと呼ぶリズム形式で、最後の八分音符×2(=四分音符)に強拍が置かれる解釈でいいんじゃないかと思う。冒頭は、開放弦の打ちっぱなしがキメになると思うので、2小節はロングトーンを活かしたほうがよいだろう。3小節目で、「さん、さん、に」とし、4小節目は開放弦で遊ぶ。


 打ちっぱなしのロングトーン気味から、Aパートに繋ぐために、6小節目のA7には、ウォーキングベースみたいにする。7小節で「さん、さん、に」を出して、8小節目はフィルとする。練習する。やっぱ、ベースラインを考えるのって、楽しい。リズムと和音の間のパズルを解くみたいで、本当に楽しいのだ。



 そのようにして、音楽の基調、Bass Line を我が手に掴みたいのである。


 そうだ、Make Her Mine、アポロンである彼女(=音楽)を僕のものにしたいのである。






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