”Make Her Mine”のベースラインを考える







 二週間経っても、いまだ、頭の中で「Make Her Mine」が回っているから、音楽の力はすごい。僕がしつこすぎるのか、否、音楽の力は偉大である。



 ウッドベースは弾き込んでいないと、まず、指がついて来ない。弦が思いっきり太いのだ。一番低いE弦を(こんなことかつてやったこたぁないのだが)、定規で計ってみると、直径3ミリメートルはある。よしんば、アタマで「こういうカッチョイイフレーズで弾いてみたいのう」と願い、かつ、”カッチョイイ・フレーズを創るセンス”に恵まれていたと仮定したとしても、そのフレーズを思いのままに物理的に実装するためには、最太3ミリメートルの弦を物理的に弾くタイミングと、音が出るタイミングを100%、制御しなければ、いいリズムにはならない。私は、20歳代、挫折したベーシストである。


 ま、そーゆーことで、You Tubeなんかを見ながら、あわせて弾いてみる。繰り返し、繰り返し、そしてまた、繰り返し。ありていであるが、上野樹里貫地谷しほりらと共演しているみたいで、楽しいのである。楽しいのであるが、オリジナルベースラインばかりだと、退屈してきて、他の音を入れたくなる。この衝動はいいベーシストなのかどうか、自分でも疑問視しているのであるが、他の音色を混ぜたり、基本(八分音符)「3、3、2」構成と思われるリズムのうえで、遊びたくなってしまう。




 イントロパートから、ベースラインの variation を考える。




【I】パート


作曲:Hipster Image?
bassline variation:dukkiedukkie
4/4
Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------1-----|
A:-----------1-----|-0---------------|
E:-0---------------|-----------------|

Dm G7
+ + + + + + + +
G:-------2---1-----|-0---------------|
D:-0---------------|---0-------------|
A:-----------------|-----0-----------|
E:-----------------|-------3---1-----|

Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------1-----|-0---2---3---4---|
E:-0---------------|-----------------|

Dm
+ + + + + + + +
G:-------------5---|-7-5-------------|
D:-0-----7---------|-----7-0---------|
A:-----------------|-----------3-0---|
E:-----------------|-----------------|

 冒頭の鮮烈なツーファイブ、それぞれのルートに対するbVの音(Emに対する Bb、A7に対するEb)を混ぜる。JAZZYな雰囲気が増さんかのうと。映画「スウィング・ガールズ」は「ジャズは後ノリ」であることを教える映画であったが、この曲のリズムは例外である。先ほども書いたが基本的なリズムは


 ♪(八分音符)=3コ、3コ、2コ


 のブロックからなる、所謂「さん、さん、に」、タンゴでは「ミロンガ」などと呼ぶリズム形式で、最後の八分音符×2(=四分音符)に強拍が置かれる解釈でいいんじゃないかと思う。冒頭は、開放弦の打ちっぱなしがキメになると思うので、2小節はロングトーンを活かしたほうがよいだろう。3小節目で、「さん、さん、に」とし、4小節目は開放弦で遊ぶ。


 打ちっぱなしのロングトーン気味から、Aパートに繋ぐために、6小節目のA7には、ウォーキングベースみたいにする。7小節で「さん、さん、に」を出して、8小節目はフィルとする。練習する。やっぱ、ベースラインを考えるのって、楽しい。リズムと和音の間のパズルを解くみたいで、本当に楽しいのだ。



 そのようにして、音楽の基調、Bass Line を我が手に掴みたいのである。


 そうだ、Make Her Mine、アポロンである彼女(=音楽)を僕のものにしたいのである。






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 やはり、バンドほど楽しいものはない。この歳になってもワクワクする。気になる女の子に振り向いてもらいたくて、目立ちたくて、気を惹きたくて、モテたくて、エレクトリックギターを買いに行った中学生のころと全く同じ気持ちが味わえる。それから25年経っても何も成長していない自分に気づき、それはそれで悲しいものがあるが。




 先日、会社で過去ギタリスト経験のあるN氏とメッセンジャーで話していて、ちょっとスタジオを借りてJAMろうという話になった。そこから数珠繋ぎに、N氏と同じ部署のG氏をドラマーに、私と同部署のJ氏をキーボードに、そして、かつて同じ部署に属していたS女史をヴォーカル&ギターに招き入れ、5人でJAMろうと言う話になった。私は、ベーシストである。


 ま、手始めということで、課題曲はS女史の提案により、


1) Deep Purple "Smoke on the Water"


2) 奥田民生 "さすらい"


ということになった。




 約2年前、当時いた会社の軽音楽部で同僚とバンドを組み、ライブハウスで一回きり、Brian Enoやら、「二人はプリキュア」なぞを演奏して以来だ。現状アップライト・ベース(別名:スケルトン・ベース、サイレント・ベースって言う奴。ポリスの「見つめていたい」でスティングが弾いてるベースみたいなもの)しか、使える低音楽器は家にないため、練習の前日は、タンスからケースを取り出したり、楽器のホコリを拭いたり、指板を磨いたり、シールドをカバンに入れたり、曲をコピったりして、どんな演奏にしようか考えたりして、ワクワクした時間を過ごす。 


 あぁ、20歳代の”惨めなミュージシャン生活”を思い出すけど、「さぁ、楽しい音楽の時間だっ!(from のだめカンタービレ)」を準備する時間って、本当に胸が躍る。楽しい。いい。GREAT!。気持ちいい。ワクワクする。


 で、当日。会社へベースを持って出勤し、定時を待つ、仕事する、待つ、仕事する、待つ、仕事する。18:30になって、メンバーで楽器持って集まる。楽器持ってるヒトが複数人、一緒の方向へ歩くだけで、バンドっぽくて、ワクワクする。幸せだ。




 そして、ジャム・セッション。幸せである。アップライト・ベースの中の単四電池が切れているようで、G弦の音量がイメージどおりでないのだが、そんなこと、些細だ、とにかく楽しい。幸せだ。奥田民生のほうはなかなか、演奏していて楽しい。Smoke on the Water はイマイチだが、まあ、合わない音はそれはそれで、面白い。




 で、終わってから居酒屋で飲むのがまた楽しい。「じゃぁ、次の課題曲は何にする?」みたいな話になって、わぁわぁ言うのも楽しい。”好きな音楽の話”をすると、そのヒトの背景がかなり見えるのも楽しい。「ま、女性ヴォーカルもの、ガール・ポップみたいのが、いんじゃね?」ってことで、Judy and Maryとか、Charaとか、いきものがかりとか、色々候補曲出していくのも、また楽しい。




 女性コーラスが入っているという流れで、「ルパン三世のテーマ」になって、ホーン入れたいねって話になって、その流れで、「なんか、みんなが”あれはいい曲だねぇっ”って思える映画音楽ないか〜」みたいな話になって、




 「あ、スウィングガールズの”Make Her Mine”!」


と提案。「ババッバー♪って、ホーンの音から始って。上野樹里貫地谷しほり本仮屋ユイカくらいしかメンバーがいなくなってしまって、スーパーマーケット前で客寄せのアルバイト演奏をしていて。曲が始ったら、バンドを去った女の子達が、シャネルを売って、みんな戻ってくるという泣けるシーンで。何回見てもあそこで泣いてしまう。ほんま、ええシーン。…………いやいや、ホーンがなくても大丈夫、もともとは、60年代イギリスのバンドのヴォーカル曲だから、大丈夫、歌でもできます! あれは、いい曲だ」と、酔いよいに、鬱陶しいまでに力説するKYな私であるが、S女史にもご賛同いただき、次の練習の課題曲とすることに。それから、週末、そして、土日、頭の中に、ババッバー♪バッババババッ〜♪って、スウィングガールズ版”Make Her Mine”が流れまくり、流れまくり。鬱陶しいまでに流れまくって、ベースラインをコピーします。キーは、Dマイナー。昔amebloでも採り上げたことあるけど、間違ってるな(参照

)。まず、イントロパート(音源参照)。




【I】パート


作曲:Hipster Image?
コピー:dukkiedukkie
4/4
Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-0---------------|
E:-0---------------|-----------------|

Dm G7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-0---------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------4-----|-3---------------|

Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-0---------------|
E:-0---------------|-----------------|

Dm
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-0-----0-0-------|-0-----0-0-------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|

 いきなりツーファイブで入るコード進行は、


IIm7-V7-Im-IV7


サブドミナント-ドミナント-トニックマイナー-サブドミナント


の繰り返し。IV7→IIm7は互いに代理可能。ま、エレクトリックベース(横ベ)の場合、D、Aの開放は抑えないほうが良いだろう。Aパートに入ると、


【A】パート


作曲:Hipster Image?
コピー:dukkiedukkie
Dm Bb
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-0-----0-0-------|-----------------|
A:-------------3---|-1-----1-1-------|
E:-----------------|-----------------|

A7 F
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-3-----3-3-------|
A:-0-----0-0-------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|

Bb7 Gm
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-1-----1-1-------|-----------------|
E:-------------4---|-3-----3-3-------|

Em7 A7 Dm
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-0-----0-0-------|
A:---------0-------|-----------------|
E:-0---------------|-----------------|

 の、


Im-bVI-V7-bIII-bVI7-IVm-IIm7-V7-Im


で、まずマイナートニック(Im)からサブドミナントマイナー(bVI)に移り、そこから短一度加工してトニックマイナー代理のbIIIへ、そこから完全4度上昇して、サブドミナントマイナー(bVI)で、推移音としてAbをセブンスとして挿入しつつ、サブドミナントマイナー(IVm)を経由して、ツーファイブで完結。流れるような構造が素晴らしい。


 続いてサビへのブリッジとなる【B】パート。


【B】パート


作曲:Hipster Image?
コピー:dukkiedukkie
Dm F/C
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-0-----0-0-------|-----------------|
A:-----------------|-3-----3-3-------|
E:-----------------|-----------------|

Bb A7 Dm
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-0-----0-0-------|
A:-1-------0-------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|

Gm F
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-3-------3-------|-1-------1-------|

Em7 A7
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-0-----0-0-------|
E:-0-----0-0-------|-----------------|

 進行は、


Im-bIII-bVI-V7-Im-IVm-bIII-IIm7-V7


 2小節目は、ベースラインはCの音で、コードはFのようだ。マイナートニック(Im=Dm)の代理である。あとは、完全4度上昇して、短一度下降して、完全4度上昇してマイナートニックに戻り、完全4度上昇から長一度下降して、bIIIのマイナートニック代理に至って、また短一度下降してからツーファイブ。とにかく流れるような感じがこの曲のジャジイさを強調している。

 

 
 練習の次の日は朝から、全メンバーに上記YouTubeのURLを送りまくり、イヤホンで聴いて、またもやアタマのなかで、常時ガンガン響きまくり。その日は新卒歓迎会があったが、相手かまわず「ババッバー♪、スウィングガールズが、上野樹里が、バンドが」とはしゃぎまくり、顰蹙かけまくり、引かれまくり。なにをやってるんかな、私は。






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高幡不動尊の”お護摩”










 もう先週の日曜日のことになるが、高幡不動尊へ厄除に言ってきた。私は数えで今年42歳、男の本厄なのである。家族で車で行ったのであるが、丁度”あじさいまつり”が開催中であったらしく、駐車場がメチャ混みである。警備員のオジサンが駐車しようとする私と妻に聞いてくる。「あじさい祭り目的でお越しですか?」


 「いえ、厄除けのお払いを…」「そうですか、では駐車してください」と警備員。


 なるほど、あじさい目的の場合、”確実にお金を落とす客”ではないから、遠くの駐車場あるいは、有料駐車場へと斡旋しているようである。シッカリしている。




 駐車場に車を停めて、事務所らしきところへ向かう。厄災除は、”お護摩”で行なうという。”おごま”。この齢になるまで知らなかった言葉である。

護摩とは、梵語でホーマ(homa)といい、
〈焚く〉〈焼く〉などの意味をもつことばで、
仏の智慧の火を以て煩悩(苦の根元)を
焼きつくすことを表します。

御本尊(不動明王)の前に壇を設け、
さまざまな供物を捧げ、
護摩木という特別な薪を焼きつくし
御本尊に祈る真言密教独特の修法で、
たいへん霊験あらたかであると
云われております。
高幡不動尊金剛山
  ホームページより引用)



 なんだか、すごそうである。今年は目が回るほど仕事に追われている。同時にツイていない。厄災除して欲しかった。




 事務所には山あじさいの花が活けてある。とても綺麗である。濃い紫、淡い紫、ブルー、水色、濃いピンク、桃色…………こんなにいくつもの種類があるとは知らなかった。花弁の仕様も微妙に違っている。


 お護摩は13:00から、本堂にて行なわれると言うので向かう。10分前ほどについたが、もう2〜30人程度が集まっており、若いお坊さんの「説教(?)」を聞いている。お坊さんの話は、今まで自分が出合ってきたお坊さんよりも、非常にスムーズかつ、滑舌が最高に良い。まるで若手芸人の前説を聞くが如しである。


 かといって、内容がない話をしているわけではない。合掌とは、蓮の花を手のひらでシミュレートしたものであり、蓮の花から仏が生まれるのだから、つまり、合掌とは自分のなかから仏を生むって行為なのだ、という、ヒジョーに深い話をしている。サービス精神に溢れたお寺である。実にシッカリしている。






 13:00、お護摩が始る。CD音源の雅楽・越天楽がスピーカーから流れる。スピーカーの品質が悪く、音が割れているようなことは決してない。充実した音響設備まで整っている。シッカリしている。


 坊さん達がひとりひとり、声明を唱えながら登場してくる。音域は皆さん、基本ユニゾン。たまにオクターブ違いがいる。なんかところどころで一音下にいったり、半音スレたり、5度、4度の音程も混じる。倍音がバシバシ出ている。おお、ホーミーみたいやないか。。


 そしてタイコが加わる。基本エイトビート。熱気に満ちた演奏だ。一番偉い坊さんが護摩木を手にし登場、火にくべて燃やし始める。前に立ちはだかる不動明王像! 




 おおおおお。


 マジ、カッコよ過ぎね? 


 インド音楽とハードロックと、ブライアン・イーノと、トーキングヘッズと、ホーミーの融合じゃね?




 思わず、ケータイでその場の音楽を録音してしまう。リズムセクション、太鼓のビートをベースリフ化にすると、↓な感じだ。キーはCメジャー、4/4拍子に聴こえる。


作曲:真言宗智山派
コピー:dukkiedukkie

C9 F9
+ + + + + + + +
G:-----------------|-----------------|
D:/5-------5-5-5-5-|-3-3-3-3-3-3-3-4-|
A:-----3-3-3-5-3-5-|-3-3-3-3-3-3-3-3-|
E:-----------------|-----------------|

 って感じだ。キーはメジャーなのかマイナーなのかハッキリしないが、それがいいのだ。なんとなく、C9って感じだ。ここに声明が、


作曲:真言宗智山派
コピー:dukkiedukkie

C9 F
+ + + + + + + +
e:-3---3---3---3---|-3---3---3-3-3---|
B:-----------------|-----------------|
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|

 って感じでヴォーカリーズする。ま、お経なのだが。そしてたまに、鈴らしき音がチリンチリンとなって、パーカッシヴな効果と高音域のアクセントを入れる。




「これはひとつのSHOWじゃねぃかっ!」




 興奮のライブが終わり、偉いお坊さんのお話が入る。 偉いお坊さんは、川澄祐勝というかたで、「叱られる幸せ」と言う本を出されているようだ。NHKの「ラジオ深夜便」で語られたことを書籍化したもののようだ。シッカリされている。




 私は、仏の道からは程遠い俗物である。なんとなく想像するのであるが、この高幡不動尊のようにシッカリ・チャッカリして、まるでSHOW、ビジネスのような活動を展開するお坊さんは、お坊さん業界で「ああ、彼は生臭坊主ですよ」みたいに悪く言う敵もいるんじゃないかと。単なる無邪気な憶測であって欲しいのだが。


 だが、私は、断固として思う。仏門に身をおく立場でなくても思う。




 お坊さんも、ビジネスをわかっていないと、人に教えたりすることなんて絶対できない、と。このようなお寺は、絶対正しいことをやっているのだと。じゃなくちゃ、こんなに楽しいSHOWを見せてくれるわけがない。心躍るお護摩となろうはずもない。もし、今年一年、厄が払われず、ツイていない事態が今後、連発したとしてもだ。私は、高幡不動尊の"お護摩"は楽しかったなぁ、と思いつづけるのだ。それはとてもいいことじゃないか。



 高幡不動尊は、ホームページもシッカリしている。デザイナーに発注して作ったのだろう。かけるべきところにお金をちゃんとかけている、ビジネス・センス溢れる寺である。


■関連リンク:
高幡不動尊 金剛寺


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ケヴィン・エアーズ「双子座のこども(Gemini Child)」




 ケヴィン・エアーズのことを語るのならば、やっぱHTML COLORは#FFFF00、バナナカラーじゃないとダメだろな、って思ったり。 by 渡部かしこ、ではなくて dukkiedukkie。




 週末くらいしかギターが弄れなくなってしまうと、指の爪が伸びてしまう。食えもしないのに、自分は弦楽器奏者だ、(自称)ミュージシャンだ!時代は、毎日爪を綺麗に切り詰めていたものであるが、いったん伸びてしまうと、なんとなく、爪のほうも図々しくなっているようで、なんとなく硬く太くなっている気がする。で、自分はぞんざいな性格なので、カクカクとした切れ味になってしまい、ちょっとイマイチな気持ちになる。ま、どうでもいいことですが。ま、ボチボチ更新は続けます。




 さて、ケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)である。1988年初来日したとき、竹橋でのコンサートへ行った。「Falling Up」発売後直後の世界(?)ツアーで、相棒のギタリスト、オリー・ハルソール(Ollie Halsall)と、「Falling Up」レコーディングでも一緒だった、スペインのリズム隊が来日メンバーだったと思う。ケヴィンといえばバナナなのであるが、そのとき(おそらくもう40歳を超えていたと思うが)も、ステージでバナナを食べたり、バナナの皮を投げたりしていたような気がする。いつまでたっても、ケヴィンの音楽には「無邪気さ」が染み付いているような気がして、それが、ブルースっぽい曲をやっていても、ズルズルのBlack デルタブルースみたいな感じにはならず、ちょっと子供がイタズラをしているような匂いに満ちているところが、ケヴィンの音楽のいいところだ。




 ケヴィンの曲にも、かなり秀逸なギター・フレーズがある。僕のお気に入りは、オムニバス盤「Odd Ditties」に含まれている「Gemini Child」のイントロのフレーズ。まあ、丁度双子座生まれのかたがたの誕生月ということで。キーはDメジャー。


作詞作曲:Kevin Ayers
コピー:dukkiedukkie

G9 Gm9
+ + + + + + + +
e:-----5-------5---|-----5-------5---|
B:---3---3---3---3-|---3---3---3---3-|
G:-4-------4-------|-3-------3-------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|
D CM9 G CM9
+ + + + + + + +
e:-----2-0---3---7-|---10--4-5---3---|
B:-----------------|-----------------|
G:-2---2-0---4---7-|---10--5-6---4---|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|
D C69 D
+ + + + + + + +
e:-2--22---0-0---0-|-2---------------|
B:-3--33---3-3---3-|-3---------------|
G:-2--22---2-2---2-|-2---------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|

 G、Gm、D、Cの4つのコードから成り立っており、それぞれ、


D=I、トニック


G=IV、サブドミナント


Gm=IVm=サブドミナントマイナー


C=bVII=サブドミナントマイナー


とまあ、サブドミナントマイナーの物悲しさが、「僕は君たちを愛してんだけど、それを伝えたくない。だって、君たちは僕が何やってる人なのか、なんも知らんでしょ?」(大意)みたいな、屈折した歌詞と相俟って物悲しさをかもし出す。ケヴィンの曲は、ちょっと聴くと「単純なポップやのう」なんだけど、こういった屈折感とのブレンドが肝。です。コノフレーズは、オリー・ハルソールのヴァージョンあれば、聴いてみたいものですな。




 ケヴィンのレコードを初めて買ったのは、高校二年生の1985年。大事な大事な思い出であるが、いまや、自分の息子が高校二年生になってしまうと、自分の分よりも奴の”思い出”となるであろう”今”の時間を大切に生きなくてはならないことに気づく。気づく。

 たけちゃん、コメントサンクスです。”あの事件の戦友”と勝手に思っております。あの事件といっても、覚えている人も、もうあまりいないようですが(笑)。



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ヤードバーズ「幻の十年」



















 単純なギターリフで週末を過ごす。労働力として再生産されるようにギターリフの古典で癒される。




 先週のVan Morrison "Wild Night"と同じポジションから、同じくEマイナーで、単純なコード進行で遊べて、かつカッコィィリフといえば、ヤードバーズthe Yardbirds)の”幻の十年(Happenings Ten Years Time Ago)”。イントロは置いといて、歌Aパートでのギターリフ。




ギターリフ考案:(おそらく)Jeff Beck
コピー:dukkiedukkie
Em
+ + + +
e:-7--77-----------|
B:-8--88-----------|
G:-9--99-999-8-7-6-|
D:-9--99-----------|
A:-7--77-777-6-5-4-|
E:-----------------|

 Eマイナー一発のところに、このリフが入るだけで多種多様なコード解釈が可能だと思うのだが、解析するには体力が必要そうなので今日はやりません。あしからず。


 今更言うべきことでもないかもしれないが…。ジェフ・ベックって、なんちゅうか、絶対そのときのヒラメキとかカンとかでリフやフレーズを気ままに作ってる。


 そして、よくそこに、テンションとか、不協和音とかが混じってて、普通、音楽としてちょっとキマらなくなったり、壊れちゃったりするような箇所でも、ジェフ・ベックがやっているだけで、ギリギリのところで音楽的に成り立ってしまう、みたいな才能をもっていると思う。瞬時にして和声的、リズム的な辻褄を合わせるスキルが尋常でない、って感じだ。


 ま、それって、ホンモノの天才しか持ちえないようなものなんだけど。ロック・ギタリストのなかで、これほどの才能を持っているヒトというと、正直、ジェフ・ベック以外にいるとは思えない。




 自分が高校生の1980年代、「幻の十年」は幻の録音で入手できなかった。聴くためには、当時1万円以上のプレミアが付いていた、アメリカのColumbia盤の「Greatest Hits」を入手しなければならなかったが、なかなかそのレコードは見つからなかった。で、しかたなく、ジャケットに”ヒヨコ”のイラストが書いてある米国海賊盤(4,000円くらいのもの)に、ラジオ・ライブでの「幻の十年」が収録されていたので、それを購入し、そのとき初めてこの曲に出会った。


 今なら、俗称「Roger the Enginner」と呼ばれる白地のアルバム「Yardbirds」に収録されていると思っている人もいるかもしれないが、それは多分、1990年代になってからCD化されたときのタイミングだったと思う。

 昔、入手できなかった時代に高い金を払って手に入れたものが、容易に手に入るようになると、ガクッ、とするのはするのだが、まぁ、概ねそういうものだ。



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Van Morrison ”Wild Night”







 仕事がわりと多忙でまた空いてしまった。。暫く毎日24時回り帰りであったため、ギターも弾けず、休日は寝てばかり。


 久しぶりにギターを持って、弾きたくなるフレーズ。シンプルで、カッコよくて、発散できるフレーズ。そんなフレーズのひとつが、ヴァン・モリスン(Van Morrison)の”ワイルド・ナイト(Wild Night)”だ!! とにかく気持ちがいい。シンプルきまわりない。すぐにノレル。キーはGメジャー。かなり勝手にアレンジしてしまっているかもしれないが、メインリフを。




作詞作曲:Van Morrison
コピー:dukkiedukkie
Em
+ + + + + + + +
e:-7-----7-7-7---12|---12--12--1212\-|
B:-8-----8-8-8---12|---12--12--1212\-|
G:-9-----9-9-9---12|---12--12--1212\-|
D:-9-----9-9-9---14|---14--14--1414\-|
A:-7-----7-7-7---14|---14--14--1414\-|
E:-7-----7-7-7---12|---12--12--1212\-|
G
+ + + + + + + +
e:-----------------|-----------------|
B:-----------------|-----------------|
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:\5-5-7-5-5-5-7-5-|-5-5-7-5-5-5-7-5-|
E:\3-3-3-3-3-3-3-3-|-3-3-3-3-3-3-3-3-|

 まぁ、このリフに尽きる。コレはイントロ及びAパート冒頭に該当し、コード進行は、

VIm VIm I I



で、トニック代理(VIm)→トニック(I)の、言っちゃえば”何の工夫もない”ワンコード進行である。微細な色彩を描けるとは思えない、単調なコード進行である。


 で、あるのだが………この、リフの素晴らしさはどこから生まれるのか? 何をやっているか説明すると、


・Eマイナーのコードポジションをズリっと上へ移動!


・ひたすら、Gパワーコードでブギを繰り返す!!



 このシンプル×シンプルの累乗効果が、とてつもないノリを造る。ロックだ。他のリフなんていらんっ!と思えるようなと男らしい、力強いリフである。パステルカラーのようなテンション利きまくった複雑なコード進行もいいのではあるが、ワンコードのこのパワーにはやっぱり勝てないと思っている。





 過酷な労働はわれわれからコトバを奪うだろう。長い人生のなかで何度も何度も奪うだろう。


 言葉を奪われたとき、僕はまずVan Morrisonに戻るように決めた。

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シン・リジー「ウィスキー・イン・ザ・ジャー」


木南晴夏嬢をめぐる音楽街道をゆく


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木南晴夏 as はるはる with 田村玄一 in ドレミノテレビ「アイアイ」




























 木南晴夏嬢をめぐる音楽街道をゆくドレミノテレビ主演時代、木南晴夏嬢は弦楽器奏者、田村玄一氏と共演を行っている。個人的に、これは驚くべき共演である。


 スチールギター奏者の田村氏は、ハワイアン音楽演奏のほか、ゴンチチ、ロンサム・ストリングス、青山陽一エマーソン北村松永孝義、石井マサユキ氏ら、日本の錚錚たる面子とバンド・セッション活動を行っているミュージシャン。特に、「Cafe On The Beach」では、ブッカーT・アンド・ザ・MGズ、リトル・フィートなどのカヴァーや書き下ろし曲を含む、イナタく、ユルめ、マターリとした素晴らしい演奏を行っていて、私はとてもとても大好きで。


 ドレミノテレビ「うたううあ」に収録された「アイアイ」。田村氏のとてもとてもフリーキーなスチールギタープレイが聴ける。スチールギターのチューニングを筆者は知らないため、ノーマル・チューニングのギターにてスライドバーを使用してコピーしてみる。キーはCメジャー。かっこいいイントロ部分。


編曲:田村玄一
ノーマルチューニング
ギター用コピー:dukkiedukkie
C
+ + + + + + + +
e:-----------------|/8\7/8-----------|
B:-------------5/8-|/8\7/8-----------|
G:/5---------------|-----------------|
D:/5---------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|
C G7
+ + + + + + + +
e:/15----------1112|/8--\3-----------|
B:/15----------1112|/8--\3-----------|
G:-----------------|-----------------|
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 極力スライドバーのビブラート等をハイスピードで行うと感じが出るような。その他の部分も基本的にはコード進行に則りながら、高音弦で「クチュクチュ」って音を出すなど、本当に面白い田村氏のプレイが聴ける。こんな田村氏と、アイドルグループLiccaの売れ行きがイマイチで、グラビア・アイドルとして活動中であった木南晴夏が出会っていたセッション、そして録音があるというのが素晴らしい。偶然の産物というか、文化的奇跡というか、人生ってオモロイものだ。

■関連リンク:田村玄一 オフィシャル・ウェブサイト

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